富里南中新聞記者体験(インタビュー:朝日学生新聞社・植田幸司さん)
2021年11月18日、富里南中学校・新聞記者体験のオンラインインタビュー、
こちらのグループは、朝日学生新聞社・企画担当部長、植田幸司さんにお話しを聞きました。
中学生記者)富里南中学校の2年生です。よろしくお願いします。
植田さん)まず初めに、この写真が朝日新聞販売店(ASA)で扱っている新聞です。朝日小学生新聞とか中高生新聞とか、当然ですが、朝日新聞も取り扱っています。下にあるのが日刊スポーツというスポーツ紙です。その他にも英字新聞や業界紙なども扱っています。
次が、新聞社のお仕事。皆さん多分、新聞社の仕事として最初に思いつくのは記者の仕事だと思いますが、こういうのを見た事あるかな。八村塁選手という、NBAのバスケットボール選手が日本に帰ってきたときの記者会見の模様。こういったのがわかりやすい記者のお仕事ですね。で、記者会見だけじゃなくて色々な場所へ取材に行ってお話を聞いて、それで自分で記事を書いて紙面にするのも記者の仕事ですね。
次に記者の必需品。パソコンとか、携帯電話とか、ICレコーダーとか、カメラとか、こういった物が必需品です。取材対象者にお話を聞いて、その聞いたことを正確に記事に書かないと、取材相手を困らせてしまうことになりますし、読者のみなさんを裏切ることにもなります。新聞記事は、ウソとか偽りとか、作り話は一切ダメなので、きちんと事実を書くというのが新聞記者の仕事の基本中の基本です。
その次が、朝日新聞社の社内の様子です。朝日小学生新聞とか中高生新聞を作っているのはまた別の所なんですけども、わかりやすいように、今回は朝日新聞の社内の様子をご紹介しますね。この写真は、記者が取材から帰ってきて、じゃあ明日の朝刊のネタをどれにしようかと選んでいたり、という場面ですね。記者がパソコンで記事を書いて、それでデスクが記事をチェックして、それを校閲という部署が誤字、脱字、事実関係などをチェックします。ここが一番記者の仕事の中で面白い所でもあるし、気をつかわなくちゃいけない所ですね。
次ですが、新聞を印刷する所です。これは東京の築地にある朝日新聞東京本社の地下です。新聞を印刷するのは輪転機。この輪転機という大きな印刷機で新聞の印刷をします。1時間に何万部という新聞を印刷出来る、すごく高性能な機械になります。
そして最後ですね。ちょっと駆け足になってしまいますが、これが一番大事な所。新聞社というと、どうしても記事を書いたりとか取材をしたりという部署が目立ちますが、新聞というのは紙に記事を印刷して、読者の皆さんの家に毎日届けるので、ここが止まってしまうと、新聞を作ったとしても読者の皆さんの手元に届かない。最近は自然災害が多いですよね。皆さんが住んでいる千葉県も、大雨が降ったりとか、台風があったり、地震があったりしますが、そんな日でも、新聞販売店の皆さんは新聞を届けています。ですので、もうここがダメだと新聞社はダメなので、最後の砦というか一番大切な所です。雨の日などは、新聞をビニール袋で梱包して届けたりとか、そういった細かい配慮もしています。新聞が濡れてしまうと、商品になりませんので、実は新聞販売店はそういった細かい心遣いをしてくれているんですね。すごく大変で重要なお仕事です。
では、時間もないので、皆さん何か質問ありますか? 何でも良いですよ。
記者)学生に向けて新聞を作られている中で、一般の新聞と何か違う点はありますか?
植田さん)そうですね。先程ちょっとパワポの資料でもお見せしましたが、朝日小学生新聞と朝日中高生新聞の記事を書くときは、大人の新聞を書くよりも凄く難しくて…例えば朝日小学生新聞に「習志野隕石」という記事がありますが、これも皆さんの近くで起きた出来事ですけれども、右にある大人の新聞と比べてみると写真が大きかったり、図が大きかったり、大人の新聞よりもわかりやすくしなくちゃいけないというのがありますので、その分記事が入る分量が少なくなってしまう。そこが難しい所で、実は記事を長く書くのはそんなに難しくない。大人の新聞と同じような内容を、子ども向けに易しくコンパクトに書くというのはすごく大変で、だからふだんは朝日新聞の記事を書いている人が、急に朝日小学生新聞に来たりすると、そういった人はなかなかすぐに書けません。内容を変えず、短く書くというのはすごく難しいことなので、そこが一番大変な所です。
あとは、子どもたちが相手なので、写真とか、図とかグラフとか、そういったものを入れなくちゃいけない。何か大きな事件が起こった時もただ文字だけで入れるのではなくて、そういった図とか写真とかイラストも一緒に並行して作るので、そういった所が大変な所です。
記者)ありがとうございます。では、原稿を書く時に気をつけていることは何ですか?
植田さん)原稿を書く時に気をつけるのは、さっきも言いましたが、子どもでもわかるようにわかりやすく記事を書くことですね。理想としては、おしゃべりをするように書くっていうのが一番大事です。記者の人たちって、とかく難しく書きたがる。だけど、本当に小学生の皆さんとか中学生の皆さんにお喋りするように簡単に書くっていうのはすごく難しい所でもあり、やり甲斐がある所でもあります。だから記者の人たちは自分が物事の本質を本当にわかっていないと、なかなか子どもたちに伝えることは出来ません。大人の新聞記者以上に、日々、勉強しなくちゃいけないっていう所があります。
記者)自分のやってきた中で一番難しかったことは何ですか?
植田さん)小学生新聞とか中高生新聞でも、暗い事件や事故などの取材をすることがあります。皆さんが何歳の時だろう。今から10年以上前だけど、東日本大震災ってありましたね、2011年。そういった災害の時も朝小、朝中高の記者も取材に行きました。そういった所で避難所にいる方々にお話を聞く場面もありました。つらい状況の中で話を聞かなくちゃいけない場面もあったので、そういう所が大変かな。災害とか悲しい事件があったりした時には大変だなと思います。
記者)ありがとうございました。
植田さん)はい、ありがとうございます。
記者)何でこの仕事を選んだんですか?
植田さん)最初からなんとしても新聞社に入りたいとか思っていたわけではなくて、私は他の業界から転職してきました。新聞社に学生の時から入りたかったとか、皆さんと同じように中学生の時から何としても新聞社に入って記者になろうなんて一切考えていなかったです。だけど案外そんなものです。
みなさんも、お父さんとかお母さんから「お前は、将来やりたいものあるのか?」みたいなこと聞かれたことない? あるでしょ? だけど、大丈夫ですよ。人生、人知れずがんばっていると、必ず運がめぐってくる。好奇心を持って何か色々なことに首を突っ込んでいると、自分のやりたいものにぶつかる、そんなものだと思います。だから特別かっこいい理由があるわけじゃなくて、たまたま色んなものに首を突っ込んでいたら何となく自分に合っているものに巡り会えたっていうのが、正直な所です。
記者)植田さんが初めて取材をした時は、どんな内容でしたか?
植田さん)僕の場合はヘビーな所というか重い所に取材に行かされることが結構多くて、例えば皆まだ生まれてないと思うんだけど新潟県の中越地震とか、あとは東日本大震災もそう。
あとはスポーツですね。記者だった頃はちょっと前の話なので、皆が知ってるかどうか。例えば水泳の北島康介選手とか、サッカーの中田英寿選手とか。スポーツ選手は野球選手にお話を聞く機会が結構ありました。新庄選手なんかもお話を聞いたことがあります。あとは、みんなが住んでいる近くに日本ハムの二軍の球場があるの知ってる? この前引退しちゃったけど、そこにいた斎藤佑樹選手、知ってるかな? 昔ハンカチ王子って言われていた名選手です。その選手が早稲田大学時代には、よく、取材をさせてもらいました。
記者)ありがとうございます。
植田さん)なんでみんなは、新聞社のお仕事やってみたいって思ったの?
記者)職場体験の事業所の中にNISって書いてあって、最初あまり仕事内容とか知らない事業所だなと思ったので選びました。
植田さん)あ、そうなんだ。じゃあ新聞社のお仕事っていうのは最初知らなかったんだ。
記者)一応聞いていて気になったので、選びました。
植田さん)そういうことなのね。他の人たちはどうですか? インタビュー先も、順天堂大学とか、博物館さんとかそういった取材もあったんですよね。
記者)そうです。
植田さん)ちなみに1番前に座っている白いマスクをしてる女の子、あなたはなぜ今回このグループに参加したんですか?
記者)たまたまです。
植田さん)そういうものなんだよね(笑)。たまたまなんだ。そうそうそう。でもそういうことなんだよ。で、皆新聞読んでる? 家で。読んでない? 例えばインターネットだったら皆、自分の興味があるものしか検索しないでしょ。だけど新聞読んだりとか、人に会ったりしてると意外な出会いがあったりする。ネットばっかりに頼っていると、自分の好きなものにしか出会えない。人に会ったり、新聞読んだり、本を読んでいると、意外な出会いがある。でも先ほどの彼女の判断は凄いことで、「たまたま」っていうぐらいが実は一番うまく転がっていくのかも知れない。そんなものです。
実は私にも中学3年生の息子がいます。今年受験で大変なんだけれど、彼はこれまで新聞をあまり読んでこなかった。けれど定期テストや高校入試では、時事問題が必ず出てきます。だからいま、一生懸命新聞を読んでいます。やっと社会の入り口というか、少しずつ大人になってきたという感じかな。だから皆さんも機会があれば新聞を読んで下さいね。
記者)植田さん、沢山お話を聞かせてくれてありがとうございます。
植田さん)はい、ありがとうございます。冒頭、なかなかネットが繋がりにくくてごめんなさい。先ほどお渡しした資料がありますので、それを読んでいただいて、これからの勉強に役立てて下さい。またチャンスがあったら学校の方にも伺いたいと思いますので、引き続きよろしくお願いします。
記者)どうもありがとうございました。
植田さん)皆さんありがとうござました、お疲れ様でした。また会う日まで。
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